今回の渡米で驚いたことは、キャッシュを一度も使わなかっただけでなく、クレジットカードすらも使わなかったことだ。
では一体どうやって支払いを済ませたのかというと・・スマホをかざしただけ。まるで日本国内にいるかのように、どこもかしこもタッチ決済で支払いができるではないか——。
少なくとも、昨年アメリカを訪れた際には、ここまで非接触のキャッシュレス決済が浸透しているイメージはなかった。だが今年は違う。コンビニエンスストアやグロッサリーストアを始め、試合会場内のアサイーショップでさえスマホがあれば商品を購入できるのだ。
場合によっては、店員のスマホで専用アプリを立ち上げ、そこへ自分のスマホをかざすことで決済ができるため、なんなら専用端末すら要らない時代になっていた。
この流れの元となるのは、長年アメリカにて問題視されてきた「クレジットカードの不正利用」を防止するため。
いわゆる「スキミング」によりカード情報を抜き取り、偽造カードを作成することで不正利用が横行していたわけだが、物理的にカードを挿入することでスキミングされるリスクを防ぐべく、ICチップが埋め込まれたクレジットカードが導入された。
これにより、全米の決済端末が一新されたのが2015年の出来事だが、同時にICチップをかざすことで決済可能となり、スキミングによるカード偽造のリスクを回避できるようになった。
さらに、2020年のコロナによるパンデミックの影響から「触らない決済」が一気に加速したことで、アメリカにおける非接触カード決済件数は爆発的に増えた。
これを裏付ける数字として、FRBの統計によると2018年には7億件だったのが、2019年には16億件、そして2020年には37億件に急増しており、なるほど納得の理由&普及である。
そして、2022年にApple社が「Tap to Pay on iPhone」を開始したことで、「専用カードリーダーも専用端末も不要、iPhoneさえあれば決済が可能」という、今までにない画期的な決済方法が個人事業や零細企業を中心に広まった。
ちなみにこのサービスは、iPhoneだからといってApple Pay専用ではなく、タッチ対応VISA等の物理カードや、Google Payなど他社のデジタルウォレットも技術的に受け付けられるため、自身のスマホに決済システムを入れている者ならば、スマホ一つで支払いが可能・・という、誰にとっても便利な仕組み。
その後、着々と決済インフラが非接触方向へと進み、今となっては米国内のかなりの店舗で非接触決済を受けられるようになった模様。
ちなみに、U.S. Payments Forumの2025年の報告では、「米国における売上げ上位300小売業者の96%超が、非接触決済を受け付けている」と発表されている他、Apple社による数字でも、「現在、米国の小売店の85%超でApple Payが利用可能」とされており、かなりの店舗でスマホ決済による支払いが可能な現状。
こうなると、スマホへの依存度が格段に上がることとなる。14年前、ロンドンにてスマホを紛失したわたしは、帰りの飛行機で大泣きしていたところ、CAたちから
「あなたの辛さ、分かるわ。今の時代、パスポートなんかよりスマホをなくすほうが、ダメージが大きいもの・・」
と、同情されたあげくに高級ワインを振る舞われたことがある。あの頃からすでに、スマホは重要かつ貴重なアイテムだった。
近い将来、スマホ一つで世界を飛び回れる日が来るかもしれない。だがその反面、紛失や故障、バッテリー切れ、OSの不具合、さらには通信障害により支払い手段を失う可能性を忘れてはならない。
どんなことでもそうだが、一つのモノやヒトに依存するのは良くないし、健全とはいえない。「これ一つで(このヒトさえいれば)便利」、「これさえあれば(このヒトさえいれば)安心」などという考えは、”依存”という名の病気である。
様々な観点からもリスクは分散するべきではあるが、とはいえ今のわたしにとっては「便利」が優先されるのも事実であり、それを手放してまでリスクヘッジ・・というのは非現実的。
(あぁ、こうやって考えることを止め、虚無の世界へ堕ちていくいくんだな)
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究極の面倒くさがりであるわたしは、現代の波に飲まれ朽ち果てるのかもしれない。











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