——歯が痛い。
人体の一部、しかもたった数ミリしかない歯の神経への刺激が、日常生活に多大な影響を及ぼすほどの痛みでなければならない理由が、わたしには分からない。
しかも今回は、中央から2番目の前歯を治療しているため、口の中だけでなく顔の内側・・いや、頭蓋骨の内側まで全体的に鈍痛が広がっているのが耐えがたい。
ここだけを聞くと「歯医者が下手くそなんじゃ?」と思われるかもしれないが、それは違う。
実はわたくし、禁じられた食べ物を口にしてしまった——そう、仮蓋の素材を剝ぎ取るほどの粘着性を帯びた食べ物、その名も「BENI BITES」という、干し芋を使ったエナジーバーを齧ってしまったのだ。
原材料は、鹿児島で育った良質な「べにはるか」のみ。
収穫してから3カ月ほど熟成させた後に、桜島の溶岩でじっくり焼き上げ立派な「焼き芋」となり、そこからの「干し芋」へと進化を遂げた”熟女・べにはるか”を、独自の製法でバーにしたものがBENI BITESである。
近所のナチュラルローソンでパケ買いしたこの商品、さつまいも好きにとっては大満足の味と噛み応えなのが特徴。パッケージの上から指で触れただけで、そのチューイー(chewy)さを感じるほどの強い弾力性を帯びたボディは、さぞかししっかりとした食感であることが想像できる。
やはり、「さつまいも」といえばねっとりとした甘さと粘り気こそが自慢なわけで、味だけを再現したスナックは多いが、チューイーな噛み応えまでをも可能にするには、スナックの種類や材料が限られてくる。
そんな困難を跳ね除けて誕生したのが、BENI BITESなのだ。
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よって、わたしはこの干し芋バーの粘着性が相当なものであることを認識しており、だからこそ治療中の左前歯に触れないよう、うまいこと齧りついたわけだ。
ところが、最初のヒト噛みは成功したものの、二度三度と咀嚼を繰り返すうちに、いつしか細切れになった干し芋の断片が当該前歯との接触を果たしてしまったのだ。
「やっちまった!!」と思ったのもつかの間、明らかに歯の神経を刺激する感覚に見舞われたわたしは、BENI BITESを恨んだ。
まるで「硬いキャラメル」のごとく圧倒的な粘着性でできたチューイーなBENI BITESが、所詮は「一時しのぎの分際」である仮蓋とくっつけば、どちらに軍配が上がるのかなど誰の目にも明らか。
だが次の瞬間、恨むべきはBENI BITESではなく、こうなることが予測できたはずなのに、さつまいも——しかも「鹿児島県産のべにはるかで出来たバー」という魅力的な響きに惑わされた結果、おめおめと齧りついた自分にある・・と考え直した。
——そう、最悪の事態を招く恐れを予感しつつも、どうしても食べてみたくて干し芋バーに手を出したのは、紛れもなくこのわたしなのだ。
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以上が、「歯が痛い」と感じるまでの顛末である。
ちなみに、BENI BITESは全部で5種類あり、「オリジナル」「デーツ」「プロテイン」「アップルシナモン」「いちじく」という、どれも魅力的なラインナップの布陣となっている。
中でも、「いちじく」の熱量は118キロカロリーと抑え気味なので、ダイエット中でも安心して楽しめるのがありがたい。
とにもかくにも、BENI BITESはおススメ商品ではあるが、歯の治療中は控えるべき。いくら「治療中の歯で噛まないようにする」と誓っても、咀嚼を繰り返すうちに干し芋の断片が口内へ広がり、いつしか患部と接触してしまうからだ。
ましてや、BENI BITESへ戦いを挑んだところで負けは確定している。なんせ彼女は、妖艶な美貌を持つアサシンなのだから——。











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