「いちご爆死」はもう二度と

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夜10時、中途半端に腹が減った。かといって冷蔵庫は空っぽだし、ウーバーイーツを頼むにも今月のカード明細が恐ろしいことになっているため、注文する勇気が出ない。つまりどうにもこうにも身動きがとれない状態なのである。

 

そもそもなぜこんなことになったのか、改めて考えてみる。

「どうせまた、ウーバーイーツ三昧やったんだろう?」

いいや、違う。さすがに家賃を超える食費など、もう懲り懲りだ。ではなぜ?

 

クレジットカードの利用明細を眺めながら、ふと一つの事実に気がつく。なぜか近所にある高級スーパーの利用額が、やけに高いのだ。しかも毎日通っているため、前回のウーバーイーツ地獄ほどではないが、結構な額を叩き出している。これは一体・・・。

レシートではないので商品名は分からないが、総額だけがズラズラと並ぶ明細。その額は毎日5,000円を超えている。しかも大した食料など購入していないはず。なぜなら毎日、ここではない店で買った食べ物を食べているからだ。ということは――。

(これってもしや・・・)

そう、なんとこれは「イチゴ」の金額だったのだ。私はフルーツが大好きで、毎日たくさんの果物を食べている。そしてここ数か月は、イチゴとデコポンのオンパレードが続いている。

なかでもイチゴは皮を剥く必要がないため、ヘタをむしり取りそのまま口へポイッと放り込むだけ摂取できる。そのため、味だけでなく食べやすさにおいても群を抜いてお気に入りのフルーツなのだ。

そんなイチゴを、私は一度に4パックほど食べるため、それなりの金額を費やしていたのだ。

 

イチゴは高価なフルーツ。粒の大きさにもよるが、一パック6~15粒程度で安くても600円、高いと1,000円近くする。そしてこれはスーパーのランクにもよる。もっと安価なイチゴが買える場所もあるが、近所のスーパーはここしかない上に、金持ち仕様の品揃え・金額設定となっているため、最低額がすでに高いのだ。

そして滅多にお目にかかれない680円のイチゴがあれば、すべて私が買い占める。その次に安い790円ならば5パックほど、上位クラスの980円となると3パック程度しか手が出ない。

イチゴにプラスして「手で剥ける柑橘類」もマストのため、今の時期ならばデコポンをまとめ買いしている。数にして4個、いや6個か。

 

こうして知らぬ間に、フルーツだけでも結構な金額を使っていたのだ。しかし果物などそのほとんどが水分であり、どれだけ食べても満腹にはならない。つまり果物とは別に食べ物も食べるため、出費がかさむ以外に良いことなどない。

イチゴ4パックとデコポン4個を完食し、みずみずしい気持ちで食事に移る――。こんな生活を送っていれば、そりゃカード明細も大変なことになるわけだ。

 

それにしてもなぜ、果物はほぼ水分でできているのだろうか。人間も体の6割は水分なわけで、だったら水分で満たされればいいではないか。水や果物で満腹になれれば、私の出費も抑えられるというのに。

 

注文する気はないが、チラッとウーバーイーツのアプリを開く。わざわざ食べ物を求めて外出するのは億劫だが、仮にウーバーイーツで注文するのと店舗で買うのとで、どのくらいの違いがあるのだろうか。

近所のケバブ屋のページを開く。ウーバーイーツならば1,300円するキャベツケバブだが、店舗で買えば700円で済む。さらにキャベツ大盛りなどその場のノリで頼めるため、同じ700円でもボリュームが違う。

さらに1,300円といえば、もう100円乗せればキャベツケバブが2個買える金額ではないか。あのボリュームと満足感を2度味わえるのに、なぜわざわざウーバーイーツなんぞで注文しなければならないんだ!

 

だんだん腹が立ってきた。その怒りが空腹を刺激する。

(これは、ケバブ屋まで歩くしかないか・・・)

こうして私は、初めてウーバーイーツではなく近所のケバブ屋まで歩くことを選択した。今までは、徒歩わずか2分の距離ですらめんどくさがってウーバーイーツに依存していた私。それが驚くべき成長を見せた瞬間でもあった。

 

さてと。明日からの食糧事情について、なにか妙案はないだろうか。

 

サムネイル by 希鳳

 

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